YSP杉並南で、YAMAHA MT-07の試乗車に乗ってきました。
TRX850と同じ270度クランクのパラツインが搭載されたマシンなのです。TRX850オーナーとしては、興味しんしんなのであります。
試乗コースはストレート中心。車両は慣らし中なので、動きが渋いところがあります。
そこんとこを割り引いて、試乗レポートをご覧ください。
試乗レポート
サイドスタンドから車体を引き起こした時、「軽っ!」と言わずにいられなかったほど、明らかに軽さを感じる車体です。MT-09よりも断然軽いですね!
エンジン始動。クラッチをミートさせて、そろそろっと発進すると、パパパパっと言うパルス感で。マシンがツインであることを主張してきます。
走り始めてすぐに、ライディングポジションのコンパクトさに気づきます。背筋を立てた殿様乗りも、腰を引いた土下座乗りも、どちらも無理なくこなせます。特にシートは上々。前下がりが少ないのと、前後の着座の自由があって、好印象です。座り心地もいいですね。
環八との交差点にさしかかり、ブレーキングとシフトダウンで車速を落とします。
MT-09に比べて、なだらかに車速が落ちていきます。MT-09に比べてミッションも渋めで、しっかり入れてやる必要がある印象。
停車直前にクラッチを切ってビックリ!
アイドリングストップが付いてるの?と思うぐらいに、アイドリング音や振動が小さくなります。
信号が青になって、発進させようとしたところ、半クラがつかみにくくて焦りました。騒々しい中の橋交差点では、音や振動が小さすぎるのです(マシンに慣れたら解決する問題ですが)。
交差点を曲がったり、車線を変更する時は、シートのイン側に軽く荷重をかけると、スッと車体の向きが変わります。
ハンドリングは変な癖は全くなく、実にナチュラルな特性。いい感じにターンできて気持ちいい!
井の頭通りに入ると、再び直線です。アクセルをひねって加速してみます。
粒の揃ったビートで車体を震わせながら、するするっと速度を上げていくMT-07。
TRX850よりも澄んだビートで、あっさりと回転が上がっていきます。新設計されたパラツインは、雑味が少なく効率が良さそうです。
車両の軽さもあって、簡単に速度が乗ります。必要十分なダッシュ力を有していますね。
しかしながら、乗り味はかなり薄まってしまいました。加速する楽しさは、TRX850に遠く及びません。
MT-09も澄んだ感じの加速ですが、トルクの塊で弾け飛ぶようなやんちゃさがあるので、TRX850と違う特性の加速が楽しめます。
MT-07の加速は、両車と比べてしまうと凡庸さは否めません。
他にもいくつか気になる点が見えてきました。
まず、クラッチが重たいです。ミッションの渋さもあって、全般的にシャッキリしない感じ。
ブレーキの効きは緩いです。焼入れが済んでないから?初心者向けにガツンと効かせない設定にしているから?いずれにせよ、強めにブレーキかけないと、イメージ通りの制動を得られませんでした。なお、普通に効きますので、誤解ならなぬよう。
サスの動きも固いです。ギャップ通過後の落ち着きがなく、ダンパーがお釣りを吸収しきれていない動きを感じます。
走りだすまではMT-07の方が軽く感じましたが、走りだしてからはMT-09の方が軽く感じます。
MT-09に比べて鈍い加速、効きの緩いブレーキ、重たいミッション・クラッチなどが、そう思わせるのでしょう。
TRX850に比べると、21世紀のバイクだと感じますが、洗練された分、退屈です。
もっとも、kurokiのTRX850は、ノーマルよりも濃い味付けになっていますので、比べるのは酷なんですが。
R20に入ってすぐ、YSP杉並南に到着。
短い試乗でしたが、いろいろなことを感じられて有意義でした。
スペック比較
3車のスペックを横並びで比較してみましょう。
MT-07Aの軽さが際立ちます。ホイールベースも短くてコンパクトですね。
タイヤサイズは07と09が一緒です。MT-09は新設計ホイールですが、07でも同じホイールを使いまわしていると思われます。
タンクは13Lと少なめですが、新規設計されたエンジンは燃費もよく、車重も軽いので、航続距離は200km~250kmは期待できそう。ちなみにTRX850は18L入りますが、燃費が悪いので航続距離は250km未満です。
MT-07A | MT-09A | TRX850 | |
---|---|---|---|
エンジン種類 | 並列2気筒 | 並列3気筒 | 並列2気筒 |
排気量 | 689cc | 846cc | 849cc |
最高出力 | 73PS@9,000rpm | 110PS@9,000rpm | 83PS@6,000rpm |
最大トルク | 68Nm@6,500rpm | 88Nm@8,500rpm | 84.3Nm@6,000rpm |
車両重量 | 182kg | 191kg | 206kg |
燃料タンク | 13L | 14L | 18L |
エンジンオイル | 3.0L | 3.4L | 4.2L |
シート高 | 805mm | 815mm | 795mm |
軸間距離 | 1,400mm | 1,440mm | 1,430mm |
ABS | あり | あり | なし |
Fタイヤ | 120/70 ZR17 | 120/70ZR17 | 120/60ZR17 |
Rタイヤ | 180/55 ZR17 | 180/55ZR17 | 160/60ZR17 |
Fサス | 正立式 | 倒立式 | 正立式 |
Rサス | モノショック | モノショック | モノショック |
発売時期 | 2014年 | 2014年 | 1995年 |
税込車両価格 | 74.95万円 | 89.96万円 | 85万円 |
総評
MT-09&TRX850乗りのkurokiには、率直に言って刺激が足りません。
しかし、MT-09の刺激が強すぎる方には、MT-07は受け入れられそう。
全体的にナチュラルで乗りやすく、よくまとまっているバイクです。車体も軽くて楽しい。
大型初心者やリターンライダーなど、運転に自信のない方には、とてもオススメできます。
ハイパワーマシンに振り回されるのは辛いですよ。YZF-R1に挫折してMT-09に乗り換えたkurokiが言っときます。
販売価格を抑えるため、コスト削減の形跡が随所に見られてチープな印象を受けますが、エンジンやフレームなどはキチンと作り込まれています。
サスとブレーキ周りを一新すれば、大化けしそうな予感。
YAMAHA開発陣の良心を感じます。
追記
SUGO祭り2016 復路ツーリング編で、G senseで足回りをチューンしたMT-07に試乗させてもらいました。
足回りをアップグレードしたらMT-07は化けるってことを、しみじみ実感しましたよ。
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