YAMAHA MT-10SP試乗記


YSP杉並南MT-10SPの試乗車が用意されました。
5月16日の発売日よりもかなり前ですが、もう整備も完了して試乗できるようです。


以前から気になっていたマシンなので、早速試乗させていただきますよ!

ちなみにkurokiが試乗一番乗り。マシンの慣らしも兼ねての走行となりました。
天候がイマイチだったので、遠出するコースではなく、首都高をチョイス。C1・レインボー・湾岸・9号をつなぐルートを、ぐるぐる回ったのです。

試乗レポート

まず感心したのが、上質な足回り。
首都高のコーナーは割と荒れているのですが、しなやかにいなしていきます。
DUCATI SuperBiike 1198Sを思わせるリッチな減衰。そして、少し長めのストローク。

これはいいですね!
kuroki号で目指していた足回りの完成形が、初めからあるのはうらやましい。

ポジションも絶妙な塩梅です。
自然とスポーツライティングの姿勢を作れ、ツーリングでのまったり走行も許容できます。
身長170〜175cmぐらいのライダーが想定されてる?と思えるほど、kurokiの体格にピタリとハマります。
足つきは、両足の踵が若干浮くぐらい。ちょっと高めかな(身長174cm)。

シートは、前下がり少なめ、ストッパーあり、滑りにくい表皮で構成されてます。
コントロールしやすく、スポーツライティングを重視した形状ですね。
イン側のヒザをフレームに乗せて姿勢を作って、コーナーへアプローチできるのも、SSライクで好みです。

そしてエンジンは…低回転ではツインのようなドコドコとして、回転の高まりと共に澄んでいく、クロスプレーン特有のあのサウンドを奏でます。
やっぱりこれはいいです。惚れ惚れします。

しかし、サウンドは同じでも、フィーリングはYZF-R1とは別物でした。
ツインに似たトルクが、低回転からドン!と出て、ドコドコ感が高回転まで続いていきます。
中低速では細かい粒を感じ、高速域では絹のように滑らかさを感じる、二面性のフィーリングです。

速度の伸びも、YZF-R1の二次曲線的な感じではなく、直線的なリニアな感じです。
これなら、ブレーキングポイントを見極めやすそうだと、ほくそ笑むkurokiなのです。

装備重量は212kg。MT-09から19kgの増加を感じさせない軽快さがあります。
意外なほど押し歩きが軽いのは、重心が低く集まってるからでしょうか。
ただ、アクセルONでMT-09より気持ち遅れてダッシュが始まる印象を受けたのは、4気筒エンジンのせいか、増加した車重のせいか!?

ブレーキも良く効く上に、コントローラブル。
下りながらのコーナーでも、安心して進入していけます。

とてもkuroki好みのマシンです。
そして、意外なほど早くなじめてしまいました。

YZF-R1は、フレンドリーに見えてなかなか心を許してくれない感じがあり、最後までなじめませんでした。
しかしMT-10では、マシンと自分がシンクロできる感じがするのです。

ある意味、YZF-R1よりMT-09に近いのかも。
だからMT-09乗りのkurokiになじんだのかも。
そう感じてなりません。

なお、エンジンからの熱気がすごいのと、かなりガス食いなのがマイナスポイントでした。
燃費は悪くても、せめて200kmインターバルで給油できる航続距離を求めたいです(実測値で知りたい)。

また、オートクルーズやYRC(ヤマハ・ライド・コントロール)などは試せていません。
今度機会があればチェックしたいですね。

総評

MT-10のキモは、やはり クロスプレーン・クランクシャフトのエンジン でしょう!

それを支える質感高い足回りや、コントローラブルな操作系もすばらしく、峠でもサーキットでもスポーツライティングを気持ちよく楽しめるはず。
まったりツーリングも難なくこなせる柔軟性もありますが、使いどころはそこじゃない。
ガッ!と走りこみを楽しめる。これがMT-10のキャラクターじゃないでしょうか。

正直、すごく欲しくなりました。
車検のためにMT-09を持ち込んだはずが、MT-10をお買い上げ!となりそうでしたよ。

価格についても、妥当な設定と思いました。
MT-09をこのレベルに引き上げるまでに、少なくとも50万はかかりますからね。

ですが…結局、MT-09に踏み止まりました。
kurokiの技量とMT-09の性能が、ほどよくバランスしている今の状態を維持したかったからです。
バイクを楽しむために マシンと自分が噛み合うこと を最重要視しているkurokiにとって、これは譲れないポイント。

なので、SUGOの高い速度域で追い込んだときに、はたしてMT-10と自分が噛み合うことができるのか…。YZF-R1を乗りこなせずに降りた過去を思うと、ためらってしまうのです。

マシンとのバランスを保てる間は、もうしばらくMT-09を楽しもう。
覚悟を整えてから、MT-10に乗り換えよう。

そう腹を決めた、今回の試乗でした。

MTシリーズスペック比較

MTシリーズのスペックを横並びで比較してみましょう(スペースの関係でXSR900は省略)。

MT-10SPMT-09 TracerMT-09MT-07
エンジン種類並列4気筒並列3気筒並列3気筒並列2気筒
排気量997cc846cc846cc689cc
最高出力160PS @11,500rpm116PS @10,000rpm116PS @10,000rpm73PS @9,000rpm
最大トルク111Nm @9,000rpm87Nm @8,500rpm87Nm @8,500rpm68Nm @6,500rpm
車両重量212kg210kg193kg182kg
燃料タンク17L18L14L13L
エンジンオイル4.9L3.4L3.4L3.0L
シート高825mm845mm815mm805mm
軸間距離1,400mm1,440mm1,440mm1,400mm
全長2,095mm2,160mm2,075mm2,085mm
全幅800mm950mm815mm745mm
全高1,110mm1,345mm1,120mm1,090mm
キャスター24°00′24°00′25°00′24°50′
トレール102mm100mm103mm90mm
ABSありありありあり
スリッパークラッチありなしなしなし
クイックシフターアップなしアップなし
トラクションコントロールありありありなし
クルーズコントロールありなしなしなし
Fタイヤ120/70ZR17120/70ZR17120/70ZR17120/70ZR17
Rタイヤ190/55ZR17180/55ZR17180/55ZR17180/55ZR17
FサスOHLINS製 電子制御 倒立式倒立式倒立式正立式
RサスOHLINS製 電子制御 モノショックモノショックモノショックモノショック
ステアリングダンパーありなしなしなし
発売時期2017年2017年2017年2017年
税込車両価格199.80万円106.92万円100.44万円76.03万円

実はMT-09以上にコンパクトな車体なのです。MT-07に迫るほどです。
YZF-R1のエンジンとディメンションですので、素晴らしいスポーツ性能なのも納得です。

ライバルとのスペック比較

kurokiがMT-10SPの購入を検討する場合、以下の機種が比較候補になります。
言わずもがな、ストリートファイターです。


KTM 1290 SUPER DUKE R


BMW S 1000 R

MT-10SPKTM 1290 SUPER DUKE RBMW S 1000 R
エンジン種類並列4気筒75°V型2気筒並列4気筒
排気量997cc1,301cc999cc
最高出力160PS @11,500rpm177PS156PS @10,000rpm
最大トルク111Nm @9,000rpm141Nm @7.000rpm112Nm @9,250rpm
車両重量212kg209.4kg(推定※)207kg
乾燥重量195kg
燃料タンク17L18L17.5L
エンジンオイル4.9L
シート高825mm835mm814mm
軸間距離1,400mm1,482mm1,439mm
全長2,095mm2,057mm
全幅800mm845mm
全高1,110mm1,228mm
キャスター24°00′24°90′24°60′
トレール102mm98.5mm
ABSありありあり
スリッパークラッチありありあり
クイックシフターアップアップ/ダウンアップ
トラクションコントロールありありあり
クルーズコントロールありありあり
Fタイヤ120/70ZR17120/70ZR17120/70ZR17
Rタイヤ190/55ZR17190/55ZR17190/55ZR17
FサスOHLINS製 電子制御 倒立式WP製 倒立式電子制御 倒立式
RサスOHLINS製 電子制御 モノショックWP製 モノショック電子制御 モノショック
ステアリングダンパーありありあり
発売時期2017年2017年2014年
税込車両価格199.80万円213.20万円180.23万円

※KTMは半乾燥重量が前例なので、ガソリンの比重は0.8として、車両重量を算出

ツイン好きのkurokiはKTMにグッと来るのですが、トータルではMT-10がリードです。
溢れんばかりのトルクを制御できる自信がないこと、外車は車体や部品代が割高、やっぱりYAMAHAが好きといった理由ですね。

なお、KTM JapanのWebサイトは、いろいろ情報が欠落していて残念な感じでした。
機械翻訳に任せっきりにせず、ちゃんと文面をチェックしていただきたい。
カタログは商品の顔ですから!

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