YZF-R1などのSSから、MT-09へ乗り換えを考えている方は、少なくないと思います。
SSの走行性能は確かに素晴らしい。でも、乗り方や走る場所をかなり限定します。
街乗りやツーリングに使うと、我慢を強いられますよね。ポジションはキツイし、なにより熱いっ!
MT-09へ乗り換えたい方は、きっと、日常域でも楽しく走れて、なおかつ俊敏に走れるマシンを求めているんじゃないでしょうか。
もしそうなら、kurokiがYZF-R1(’09)からMT-09へ乗り換えて感じてきたことや、試行錯誤の経験がお役に立つかもしれませんよ。
MT-09は大型のトリッカー
YAMAHAの中の人いわく、MT-09は大型のトリッカーだそうです。
サスペンションは動きやすさをねらって、あえてピッチングさせるように造り込んでいるとのこと。
また、浅いバンク角でスイッと曲がり、車体が起き始めたところで右手をひねると、グワッと立ち上がるハンドリングにしているそうですよ。
(Motorcyclist 2015年7月号 「追跡」YAMAHA MT-09より)
また、YAMAHAの開発者インタビューによると、MT-09の車体にはスーパーモタード=トレールバイク的要素をふんだんに取り入れたと書かれています。その結果が、大型のトリッカーなのでしょう。
MT-09を上手く走らせるには、この特性を活かして走ることが必要なのでしょう。
MT-09をイマイチ楽しめない
最初の1年間は、MT-09の特性を活かした走り方を模索してみました。
比較的速度が低い状態なら、クルッと曲がれます。ねらったライン通りに。
速度が上がってマシンへの荷重が増えると、ふわふわとした違和感が気になってきます。
向き変えポイントではクルッと曲がれるのですが、そこまでのブレーキングが気持ち悪い。
また、道なりに曲がるしかないRの大きいコーナーでは、外へふくらんでいきそうな不安感もありますし。
そう感じるため、コーナリングの旋回速度を上げられません。
マシンがよそよそしく感じるため、イマイチMT-09を操れている感じが持てません。
その結果、MT-09をイマイチ楽しめず、好きになりきれませんでした。
せっかく買ったのにね。もったいない。
MT-09が期待した水準じゃない
乗り換えた当初から、ずっと感じていました。
YZF-R1に比べて、ブレーキや足回りがプアすぎることを。
SSに乗り込んだ経験は、高水準のマシンがどういうものかを、身体に蓄積することでもあります。
SSを知るモノサシでMT-09を見てしまうため、その落差にガックリしちゃうのです。
もちろん、単純比較できないのは重々承知。
MT-09は、公道を楽しく走るためのお手頃モデル。かたやYZF-R1は、サーキットマジ走り用のYAMAHAのフラッグシップモデル。
販売価格が50万以上も安ければ、使っているパーツも安い。速度レンジもまったく違う。
性能がプアなのは当たり前ですし、マシンのコンセプトやセグメントも違います。
でもね、アタマではわかっていても、身体は気持ちいい状態を求めちゃうのです。
SSみたいな凄まじい制動力はいらないけど、緩やかにブレーキをリリースできるマスターシリンダーが欲しいとか。
SSみたいな強い荷重に耐えるバネはいらないけど、しなやかな減衰は欲しいとか。
残念ですけど、MT-09のブレーキや足回りには、そこまでの質感はありません。
特に、フロントフォークのダンパーが片側にしか入ってないことが、質感を落としていると思います。
減衰力が半分になっちゃうので、路面追従性が落ちてしまい、ふわふわとした気持ち悪さが出てしまうのです。
コストダウンのために、中型車で見られる手法が使われたと思いますが。
1年間ノーマル状態で乗ってみて、このMT-09では心から楽しめない、と判断しました。
公道を走るには十分な性能があっても、その状態でkurokiが楽しめるかは、また別の話です。
あきらめてMT-09を手放すか、kuroki好みにMT-09を合わせるか。選択肢は2つに1つ。
贅沢なブレーキや足回りを知ってしまったSS乗りは、同じように折り合いをつけることになるんじゃないでしょうか。
MT-09はカスタムで化ける
とはいえ、MT-09が楽しめる要素をたっぷり持っていることは間違いないです。
ここは強く主張しておきたい!
- 軽量な車体とトルクフルなエンジンが生み出す俊敏な走り
- パワーがあり過ぎず、速度の伸びが読みやすいエンジン
- アップライトで楽なライディングポジション
- ハンドル切れ角があるのでUターンも楽々
- そして、それほど熱くならない車体
YZF-R1に比べていいね!と思うことが、ほら、こんなにあるんですよ。
意を決して、不満を感じてきたブレーキや足回りなどをアップグレードする、カスタムシリーズを実施。
サスペンションの改善によって、サーキットでも峠でもコーナリング時の不安感が消えました。ブレーキングとアクセルがコントローラブルになって、ライポジがしっくりすると、コーナリングにおける不満も消えました。
そうなると、本来MT-09が持つ楽しさが光り始めます。
メーカーが出したセッティングを崩して、再度バランス取り直すのはリスクがありましたが、結果としては上手くいきました。そして、MT-09に手を入れてよかったと、しみじみ思います。
コストはかかってしまいましたが、「日常域でも楽しく走れて、なおかつ俊敏に走れるマシン」に仕上がりましたからね!
MT-09が20万ほど高かったら
MT-09をカスタムするたびに、マシンとの距離が縮まるのを感じました。
そして今では、このMT-09はkurokiの愛機であると、確かな実感を持っています。
もし仮に、MT-09がもう20万ほど高かったとします。
きっと、不満のないブレーキや足回りが提供されていたんじゃないでしょうか。
しかし、今ほどマシンとの距離を縮めらなかったんじゃないか?と思うのです。
というのも、YZF-R1では性能が高すぎて何も手を加える要素がなかったんですよ。
実際、各部のO/Hや消耗品の交換ぐらいしかやりませんでしたし、それでも十分過ぎました。
いいことじゃないの…とは思いつつ、どこかつまらなさを感じていたのです。
やっぱりkurokiは、マシンのカスタムが大好きなんだと、改めて実感します。
MT-09は、手を入れるところが多いけど、期待通りのリターンが得られます。
打てば響くマシンって、カスタム好きにはたまらない素材なのです!
まとめ
以上がYZF-R1からMT-09に乗り換えて、感じたことです。
他の車種からの乗り換えだと、また違った感想になると思います。
走るフィールドが違っても、評価も異なることでしょう。
カスタム好きかどうかでも、意見が割れるでしょうね。
異論反論はありましょうが、SSから乗り換えたユーザーの一意見として読んでもらえれば幸いです。
なお、普通に走る分にはMT-09は問題ない性能をもっていることを、改めて強調しておきます。
まあなんにせよ、自分で買ったバイクは、自分が楽しめなきゃいかんです。
誰に何を言われようと、楽しむ主役は自分なんですから!
コメント
以前コメントした者です
今回のコラム、なるほど納得ですね
最後の一言に尽きます^^
今、色々比べてしまってる最中なので参考になりました^^
いなよさん、コメント遅くなりました。
ちなみにこのコラムは、以前から書きたかった内容だったのですが、誰向けに書くべきかが定まらなかったため、納得いくカタチにまとめられませんでした。
ちょうど、いなよさんからのコメントで「SSから乗り換えた方向けに書こう!」とターゲットが決められ、ようやく公開できた、という次第です(^^;;