MT-09で三浦半島へツーリングに行った帰り、YSP杉並南で、YAMAHA MT-09 Tracerの試乗車に乗ってきました。
MT-09オーナーとしては、バリエーションモデルに興味津々なのは、当然ですよね?
試乗コースはストレート中心のちょい乗りです。
でも、一日中MT-09に乗って身体に感触が残っているので、じっくりとMT-09と比較しましょうか。
各部のチェック
フロントカウルに加えてハンドガードの装備が、大きくなった印象を作るのでしょう。
見た目は大きくなっても、軽い車体は維持されています。引き起こしも軽いですし。
マルチファンクションメーターは情報量も充実して、豪華になりました。
右側の情報ディスプレイは、以下のセットで切り替えられます。関連する情報が一度にまとめて見られる上に、ユーザー好みにカスタマイズも可能なのは、羨ましい!
セット1 | TRIP-1 | トリップメーター表示1 |
TRIP-2 | トリップメーター表示2 | |
ODO | オドメーター表示 | |
セット2 | A.TEMP | 外気温表示 |
C.TEMP | 水温表示 | |
TIME TRIP | 経過時間表示 | |
セット3 | ODO | オドメーター表示 |
FUEL AVG | 平均燃費表示 | |
CRNT FUEL | 瞬間燃費表示 |
フロントカウルは大きく、ガッチリ風防が効きそう。
3段階で高さ調整ができるのもいいですねえ!
シートはセパレート型。腰を引いて加速体制に移りやすい形状ですね。
シート下の荷室は別体型ETCが入るだけのスペースは用意されているのは、日本車ならでは。
オーナーのIidaさんは、TDMの時につけてた無線機が今度は入らないかな?と心配してたら入っちゃったと、スベースが意外と広いことに驚いていました。
試乗レポート
なにはともあれ、早速走ってみましょう!
MT-09に比べて気持ち鈍いけども、滑らかに加速していきます。音や振動は全くMT-09と同じです。
サスペンションの感じもシッカリ・どっしりしています。普通のスポーツバイクっぽい足回り。MT-09のひょこひょこした感じがないのが好ましいです。
車高は高めです。試乗車にはローダウン仕様になっていますが、それでも高い印象は否めません。
信号待ちになって停車。そして再び発進。
こういった速度域でもスムーズで滑らかで、アクセルが過敏に反応する感じはありません。MT-09のヤンチャな感じに比べて、ずいぶん従順になった印象を受けます。
ECUのセッティング、足回りのセッティング、重くなった車体など、いろんな要因が複合しているのでしょう。
交差点でのターンや、車線変更などでも、自然なハンドリングを実感できます。
なんの引っかかりもなく、目線を向けた方向にスイっと舵が切れて気持ちいいです。
直線がクリアになったので…アクセルを大きくひねってみます。
荒々しいエンジンの咆哮が響き渡り、弾けるように加速していくTracer。
うほほ!これだよ!これ!
根っこは同じMT-09だと、この瞬間にハッキリ確信します。
風圧が気になる速度になると、顔に当たる空気は緩やかになって、フロントカウルのありがたみを実感できます。
ハンドガートも効いています。手の甲に当たる風が穏やかになり、寒さがずいぶん緩和されます。
そして、耳に届く風切音が少なくなったことで、より一層エンジンの咆哮が聞こえるようになるのです。
車体はしっとりと安定しているのに、エンジンは荒々しく気分が高ぶる。
相反したフィーリングを同時に味わえるキャラクターのマシンです。
ツーリング向けでも決してヌルくない、エキサイティングなツアラーと言えるでしょう。これでツーリングに行ったら楽しいだろうな!
「MT-09は過敏すぎる。でもMT-07ではパンチが足らない。」
そう感じられている方には、ピッタリのマシンじゃないかと思います。
ツーリング向けの装備が充実していますし、各部の質感も高い。
MT-09より約15万ほど値が張りますが、後から装備することを考えたら、むしろ安いと思います。
そして、MT-09の新たなバリエーション展開にも、期待が高まります。
走行会向けの「なんちゃってSS仕様」のMT-09が、150万以下で出てくれないかなあ。即乗り換えますよ!
スペック比較
MT-09とのスペックを横並びで比較してみましょう。参考までに、姉妹車のMT-07も並べちゃいます。
MT-09 Tracer | MT-09A | MT-07A | |
---|---|---|---|
エンジン種類 | 並列3気筒 | 並列3気筒 | 並列2気筒 |
排気量 | 846cc | 846cc | 689cc |
最高出力 | 110PS@9,000rpm | 110PS@9,000rpm | 73PS@9,000rpm |
最大トルク | 88Nm@8,500rpm | 88Nm@8,500rpm | 68Nm@6,500rpm |
車両重量 | 210kg | 191kg | 182kg |
燃料タンク | 18L | 14L | 13L |
エンジンオイル | 3.4L | 3.4L | 3.0L |
シート高 | 845mm | 815mm | 805mm |
軸間距離 | 1,440mm | 1,440mm | 1,400mm |
ABS | あり | あり | あり |
Fタイヤ | 120/70ZR17 | 120/70ZR17 | 120/70ZR17 |
Rタイヤ | 180/55ZR17 | 180/55ZR17 | 180/55ZR17 |
Fサス | 倒立式 | 倒立式 | 正立式 |
Rサス | モノショック | モノショック | モノショック |
発売時期 | 2015年 | 2014年 | 2014年 |
税込車両価格 | 104.76万円 | 89.96万円 | 74.95万円 |
MT-09に比べて、19kgの重量増です。燃料が4L余分に入る分を割り引いた上で、カウル・メーター・各種電装パーツ・大容量タンク・センタースタンドなどが、これだけの重さになるんですね。
ですが、各社の主要アドベンチャー系モデルの中では、ダントツに軽いことに驚きました。
モデル名 | 車両重量 | エンジン種類 | 排気量 |
---|---|---|---|
YAMAHA MT-09 Tracer | 210kg | 並列3気筒 | 846cc |
SUZUKI V-Strom650XT ABS | 215kg | V型2気筒 | 645cc |
SUZUKI V-Strom1000ABS | 228kg | V型2気筒 | 1,036cc |
DUCATI Multistrada 1200 S | 235kg | L型2気筒 | 1,198cc |
HONDA VFR800X | 244kg | V型4気筒 | 781cc |
BMW R1200 GS Adventure | 260kg | 水平対向2気筒 | 1,169cc |
Triumph TIGER EXPLORER XC | 267kg | 並列3気筒 | 1,215cc |
HONDA VFR1200X | 288kg | V型4気筒 | 1,236cc |
人気が高まっているアドベンチャー系モデルに一石を投じる、魅力的な一台が登場したと言えるでしょうね。
コメント
超お節介コメントですが、各車、値段を比較してみました。
YAMAHA XT1200Z 1,652,400円
YAMAHA MT-09 Tracer 1,047,600円
SUZUKI V-Strom650XT ABS 950,400円
SUZUKI V-Strom1000ABS 1,404,000円
DUCATI MULTISTRADA 1200S 2,190,000円
BMW R1200 GS Adventure 2,328,500円
Triumph TIGER EXPLORER XC 2,118,480円
HONDA VFR800X 1,382,400円
HONDA VFR1200X 1,890,000円
ヘビーなXT1200Zでは、ちょっと‥という者には、MT-09 Tracerのスペックとお値段が大変魅力的です。外車はともかく、スズキは650も1000もMT-09 Tracerに食われそうで、定価で勝負できないですね。
たかけんさん、
お値段情報ありがとうございました!
こうやって比較してみると、Tracerはスペックでも価格でも強い競争力を持った車種ですね。これから数年、各社がどんなモデルを出してくるか、ホントに楽しみですよ。
メーカーさんは大変でしょうが、買い手である我々は競争大歓迎です♬